加盟開発のマーケティングというと、ポータルサイトに載せる、広告を出す、SEO記事を書く、といった「集客の手段」から考え始める本部が少なくありません。ただ、手段から入ると、反響は増えても成約につながらない、という状態に陥りがちです。
この記事では、集客を始める前に決めておきたい4つのこと(ターゲット・メッセージ・チャネル・数字)を、本部支援と加盟店運営の両方の経験から整理します。個別の集客手法の向き不向きは、加盟開発のリード獲得7つの手法で詳しく解説しています。
この記事の目次
加盟開発のマーケティングは「順番」で決まる
加盟開発のマーケティングは、次の順番で組み立てると、ぶれにくくなります。
- ① 誰に:どんな加盟者に来てほしいのか(ターゲット)
- ② 何を:その人に、本部として何を約束するのか(メッセージ)
- ③ どこで:その人と、どこで出会うのか(チャネル)
- ④ どう測るか:うまくいっているかを、何の数字で判断するのか(KPI)
多くの本部が③から始めてしまいますが、①と②が決まっていないと、どのチャネルを使っても「誰にでも当てはまる」募集になります。結果として、問い合わせの数は増えても、本気度や相性にばらつきが出ます。
① 誰に:来てほしい加盟者を言葉にする
最初に決めるのは、「どんな人に加盟してほしいか」です。年齢や資金だけでなく、次のような観点で言葉にしておくと、後のメッセージやチャネル選びが楽になります。
- 個人か法人か。法人なら、どんな既存事業を持っている会社か
- オーナー自身が現場に立つのか、人を雇って運営するのか
- なぜ今、新しい事業を探しているのか(独立、事業の多角化、遊休資産の活用など)
- 加盟後、どんな状態になっていれば「成功」と言えるのか
立ち上げ期の本部ほど、対象を広げたくなります。ですが、加盟店が少ない段階こそ、業界や対象を絞った方が成約につながりやすいと、私たちは考えています。
絞ることには、もう一つ大きな利点があります。同じ業界の加盟店が増えるほど、その業界での成功事例がたまっていくことです。「同じ業界のあの会社が、これだけの売上を出している」という事例は、同じ業界の次の候補者にとって一番説得力のある材料になります。事例が事例を呼び、その業界の中で加盟が広がりやすくなります。
たとえば格安レンタカーのニコニコレンタカーは、ガソリンスタンドを中心に加盟店を広げてきたことで知られています。敷地・車両・スタッフといった既存の設備や人員を活かせる業界に対象を絞ったからこそ、ガソリンスタンド業界の中で事例が積み上がり、横に広がりやすかったのだと見ています。業界を絞る考え方は、「誰にでも」をやめて業界を絞るでも紹介しています。
② 何を:本部として約束することを決める
ターゲットが決まったら、その人に向けて「この本部に加盟すると何が得られるのか」を一文で言えるようにします。ここで大切なのは、収益性だけを前に出さないことです。
- 加盟者がひとりでは持てない仕組み(仕入れ、集客、採用、研修など)
- 本部が大切にしている考え方と、それが加盟店の運営にどう表れるか
- 開業後に本部が何をしてくれるのか、どこからが加盟店の仕事か
「儲かる」「簡単」といった言葉で集めた反響は、開業後のギャップにつながりやすく、本部の評判にも跳ね返ります。伝える言葉の設計は、フランチャイズのブランディングの考え方とも重なります。
③ どこで:ターゲットと出会う場所を選ぶ
チャネルは、①で決めた人が「普段どこで情報を集めているか」から選びます。たとえば、次のような考え方です。
- 独立を考える個人:フランチャイズの比較サイトやポータル、検索、説明会
- 新規事業を探す法人:業界のつながり、紹介、展示会、直接の事業提案
- 既存加盟店の知人:紹介制度、既存オーナーの声の発信
一つのチャネルにすべてを頼ると、そのチャネルの条件が変わったときに反響が止まります。主力のチャネルを一つ決めたうえで、補助のチャネルを組み合わせておくと安定します。法人への提案の進め方は、法人加盟の獲得法で詳しく書いています。
④ どう測るか:反響の数ではなく、成約と定着で見る
マーケティングの成果を「反響数」や「反響1件あたりの費用」だけで見ていると、質の低い反響を集めるチャネルが良く見えてしまいます。次の順に、段階ごとの数字を並べて見ることをおすすめします。
- 反響数と、そのうち面談に進んだ数
- 面談から成約に至った数
- 成約1件あたりにかかった費用
- 開業後、計画どおりに運営できている加盟店の割合
どの段階で止まっているかが見えると、次に手を打つべき場所がはっきりします。管理すべき数字の詳細は、加盟開発のKPIにまとめています。
加盟開発のマーケティングでよくある3つの失敗
- 反響の数だけで判断する:問い合わせは増えたのに、面談や成約が増えない。チャネルの良し悪しを反響数で決めていると、このずれに気づけません。
- 募集の言葉が、誰にでも当てはまる:「未経験でも安心」「高収益」など、どの本部でも言える言葉だけでは、比較されたときに選ぶ理由になりません。
- 集客と営業が分断されている:マーケティング担当が集めた反響を、営業担当がどう扱っているかが共有されておらず、反響の質の改善が進まない。
3つ目は特に見落とされがちです。面談で加盟希望者が何に関心を持ち、どこで迷ったかを、募集の言葉やチャネル選びに戻していく流れをつくると、マーケティングと営業の両方の精度が上がります。
よくある質問
Q. 加盟開発のマーケティング予算は、どう決めればよいですか?
反響1件あたりの費用ではなく、「成約1件あたりに、いくらまでかけられるか」から逆算するのが基本です。加盟金や開業後の売上から本部が得る収益を踏まえ、無理のない上限を決めたうえで、チャネルごとに配分します。
Q. 立ち上げ期で実績が少ない場合、何を発信すればよいですか?
店舗数などの実績がまだ少ない段階では、代表の考え方、事業を始めた理由、直営店や1号店の実際の様子など、「人」と「現場」を伝える発信が効果的です。実績は、加盟店が増えるにつれて少しずつ加えていけば十分です。
- 止まっている工程の見つけ方:【加盟が増えない本部へ】反響・面談・成約、どこで止まっているのか
まとめ|集客の手段は、最後に選ぶ
加盟開発のマーケティングは、「誰に」「何を」が決まって初めて、「どこで」「どう測るか」が意味を持ちます。手段から考えるのをやめ、来てほしい加盟者の姿から逆算することが、反響を成約と定着につなげる近道です。
加盟開発全体の流れは、フランチャイズ加盟開発の完全ガイドで体系的に解説しています。
自社の加盟開発のマーケティングをどこから見直せばよいか迷っている本部の方は、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。現状を伺うところから、一緒に整理します。
業界を絞った加盟開発の例として、SS運営会社さまへの提案についてはSSネットワークでの加盟開発でご紹介しています。
実際の支援の様子は支援事例、本部向けの支援内容はフランチャイズ本部様へでご紹介しています。加盟希望者をご紹介いただける方向けに、紹介パートナー制度もご用意しています。
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加盟開発 KPI管理シート(Excel)
反響・面談・申込・成約の数字を入れるだけで、どこで止まっているかと必要な反響数が分かります。
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