この記事の結論
のれん分けは、主に長く働いた従業員に屋号を使って独立してもらう方法で、フランチャイズは外部の加盟者と契約を結んで店を増やす方法です。どちらも自分の店を増やす手段ですが、相手・契約・本部の役割が違います。注意したいのは、名前が「のれん分け」でも、加盟金を受け取り、継続的に指導し、商品を供給するなどの条件がそろうと、法律上はフランチャイズと同じように扱われる場合があることです。
飲食店が2店舗目、3店舗目と店を増やすとき、選択肢は直営だけではありません。「のれん分け」と「フランチャイズ」。どちらも店を増やす方法ですが、中身はかなり違います。
私は飲食・焼肉のフランチャイズで加盟開発の責任者を務め、50店舗の展開に関わりました。この記事では、直営が1〜2店舗の飲食店のオーナーに向けて、のれん分けとフランチャイズの違いと、選び方をまとめます。
この記事の目次
のれん分けとフランチャイズの違い
| 比べる点 | のれん分け | フランチャイズ |
|---|---|---|
| 主な相手 | 長く働いた従業員など、身内に近い人 | 外部の加盟希望者(個人・法人) |
| 目的 | 働いてきた人の独立を応援する | 仕組みを使ってもらい、店舗網を広げる |
| お金の取り決め | 加盟金やロイヤリティを低くしたり、取らなかったりすることもある(取り決めしだい) | 加盟金・ロイヤリティなどを契約で決めるのが一般的 |
| 本部の役割 | 相談役に近いことが多い | 研修、マニュアル、SVによる指導など、継続的に支える |
| 広げる速さ | 任せられる人の数に左右される | 仕組みが整えば、外部の人にも広げやすい |
※表は一般的な傾向をまとめたものです。実際の中身は、それぞれの取り決めによって大きく変わります。
のれん分けのメリットと注意点
メリットは、お店の味や考え方を知っている人に任せられることです。教える手間が少なく、信頼関係があるので、立ち上がりも安定しやすくなります。
注意点は、任せられる人の数で、増やせる店の数が決まってしまうことです。また、身内に近い関係だからこそ、お金の取り決めや屋号の使い方を口約束で済ませてしまいがちです。関係がこじれたときに備えて、書面で決めておきます。
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フランチャイズのメリットと注意点
メリットは、仕組みが整えば、お店を知らない外部の人にも広げられることです。加盟店の資金で店舗が増えるため、本部の負担を抑えながら展開できます。
注意点は、お店を知らない人でも同じ品質を出せる仕組みが必要になることです。標準レシピ、マニュアル、研修、加盟店に示す収支モデル、契約書。整えるものが多く、準備に時間がかかります。
名前が「のれん分け」でも、法律上の注意は同じ
中小企業庁の解説によると、中小小売商業振興法では、次の6つの要件にあてはまる事業を「特定連鎖化事業」としています。対象の小売業には、飲食業も含まれます。
- 主に中小小売商業者を加盟店とすること
- 定型的な約款による契約に基づくこと
- 継続的に商品を販売、またはその販売をあっせんすること
- 継続的に経営に関する指導を行うこと
- 加盟者に特定の商標や商号などを使用させること
- 加盟者から加盟金や保証金などを徴収すること
これにあてはまる本部は、契約を結ぶ前に、事業の概要や契約の主な内容を書面で交付し、説明する義務があります(同法第11条)。名前が「のれん分け」でも、中身がこれにあてはまれば対象になりえます。
一方で、飲食店などで商品の供給が契約の条件になっていない場合は、6つの要件にあてはまらず、特定連鎖化事業ではないとされています。ただし、あてはまらない場合でも、加盟者にとって重要なことは事前に説明することが望ましいとされています(出典:中小企業庁「特定連鎖化事業(フランチャイズ)について」)。
自分の場合が該当するかどうかは、弁護士などの専門家にご確認ください。用語の意味は、用語集の「のれん分け」「法定開示書面」でも確認できます。
1〜2店舗の飲食店は、どう選ぶか
| 今の状況 | 向いている進め方 |
|---|---|
| 任せたい従業員がいる | のれん分けから始め、型を確かめる |
| 外部の人にも広げたい、増やすスピードを上げたい | フランチャイズとして仕組みを整える |
| まだ決めきれない | まず数字とレシピを整え、直営の2店舗目で再現できるかを確かめる |
のれん分けで型を確かめてから、フランチャイズに広げる。この順番も、現実的な選択肢です。どちらを選んでも、店舗ごとの数字、標準レシピと作業の手順、屋号の商標を先に整えることは共通です。くわしくは「【飲食店のフランチャイズ化】1〜2店舗でもできる?」で解説しています。
よくある質問
のれん分けなら、契約書はいらないのですか?
いいえ。屋号の使い方、お金の取り決め、やめるときの条件などを、書面で決めておくことをおすすめします。口約束のままだと、関係がこじれたときに双方が困ります。
のれん分けでも、法律上の開示は必要ですか?
名前ではなく中身で判断されます。中小小売商業振興法では、商標を使わせる、加盟金などを受け取る、継続的に指導する、商品を販売・あっせんするといった要件にあてはまると、契約前に書面で説明する義務が生じます。該当するかどうかは、弁護士などの専門家にご確認ください。
1〜2店舗の飲食店は、どちらから始めるのがいいですか?
任せたい従業員がいるなら、のれん分けで型を確かめてから、フランチャイズに広げる方法があります。外部の方にも広げたい場合は、最初からフランチャイズとして仕組みを整えます。どちらでも、店舗ごとの数字と標準レシピを先に整えることは共通です。
まとめ
のれん分けは身内に近い人の独立を応援する方法、フランチャイズは外部の人と契約して仕組みで広げる方法です。どちらでも、名前ではなく中身で法律上の扱いが決まる点に注意してください。
自分の店に合う増やし方を整理したい方は、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。無料の「フランチャイズ化 準備度チェック(20問)」もご利用いただけます。
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