フランチャイズ本部と加盟店のトラブルは、法律の問題として語られがちです。売上予測とのズレ、違約金、契約解除。あるいは、本部の支援体制の不足として語られます。どちらも間違いではありません。しかし、その手前にある「そもそも、なぜすれ違うのか」は、あまり語られません。
私はフランチャイズ本部を支援する側であり、同時にリラクゼーションサロン「ASIESTA」の加盟店として、本部を持つ側でもあります。本部の頭の中と、加盟店の頭の中、その両方を知る立場から見えてくるのは、すれ違いの多くが「悪意」ではなく、「同じ言葉を、違う立場で解釈すること」から生まれるという事実です。
同じ出来事が、正反対に見える
本部と加盟店は、契約で結ばれたパートナーであると同時に、立場の異なる独立した事業者です。だから、まったく同じ出来事が、両者にはしばしば正反対に見えます。具体例で見てみましょう。
【ルールをめぐって】
本部にとっては「ブランドを守るための統一ルール」。加盟店にとっては「現場を知らない本部からの押し付け」。同じルールが、守る仕組みにも、縛る鎖にも見えます。
【販促をめぐって】
本部にとっては「全店で足並みをそろえる販促キャンペーン」。加盟店にとっては「利益を削る値引きを、本部の都合で強要された」。同じ施策が、成長戦略にも、負担の押し付けにも見えます。
【数字をめぐって】
本部は「売上を上げてほしい」と言う。加盟店は「売上ばかりで、うちの利益は見てくれないのか」と受け取る。本部が良かれと思って発した言葉が、加盟店には冷たく響く。
どのケースにも、悪意はありません。本部は本部なりに正しく、加盟店は加盟店なりに正しい。それでもすれ違う。これが、フランチャイズという仕組みが構造的に抱える「解釈の断層」です。
断層は「立場の違い」から必ず生まれる
なぜ、こうも解釈が分かれるのか。それは、両者が背負っているものが違うからです。
本部は「チェーン全体」を見ています。一店舗の個別事情より、ブランド全体の統一性と、数十・数百店の平均最適を優先せざるを得ない。一方、加盟店が背負っているのは「自分の一店舗」と、そこで働くスタッフの生活です。全体最適より、目の前の自店の損益がすべてです。
この「全体を見る本部」と「一店舗に賭ける加盟店」の視点の差は、どちらかが悪いのではなく、立場が違えば必ず生まれるものです。だから、すれ違いをゼロにすることはできません。問題は、この断層を放置するか、埋める努力をするかです。
断層を埋めるのは、ルールでも支援でもない
では、どうすれば断層を埋められるのか。ルールを細かくすることでも、支援メニューを増やすことでもありません。それらは対症療法にすぎません。
断層を埋める唯一の土台は、本部と加盟店が「同じ未来を見ている」という共通認識です。なぜこのルールがあるのか、なぜこの販促をやるのか、なぜこの数字を追うのか——その一つひとつが「同じビジョンを実現するため」だと腹落ちしていれば、加盟店は「押し付け」ではなく「必要なこと」として受け取れます。
私が加盟店として本部の方針に納得できたのも、その方針が本部の掲げるビジョンと一本の線でつながっていたからです。逆に、ビジョンが共有されていない本部では、同じルールが「意味の分からない押し付け」に変わります。すれ違いの根っこは、ルールの中身ではなく、その背後にある「考え方」が共有されているかどうかにあります。
すれ違いを減らす本部が、やっていること
両方の立場を経験して見えた、すれ違いの少ない本部の共通点を挙げます。
- ルールの「理由」を必ず添える:「こう決まっている」ではなく「なぜそう決めたか」を語る
- 加盟店の言葉を、立場ごと理解する:加盟店の不満を「わがまま」と切り捨てず、一店舗を背負う側の視点として受け止める
- 悪い情報が本部に届く仕組みを持つ:現場の不満やトラブルが、SV止まりにならず本部上層部まで上がる
- ビジョンを繰り返し語る:一度掲げて終わりでなく、日々の判断のたびにビジョンに立ち返る
結局のところ、本部がどう考えているかで、加盟店との関係は変わります。すれ違いは、本部の考え方が加盟店に伝わっていないサインです。ビジョンなくして、良い関係もありません。
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本部と加盟店の関係づくり、すれ違いを減らす仕組みについてのご相談は、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。加盟する側と支援する側、両方の視点からお話しできます。