フランチャイズ事業

【エリア戦略】フランチャイズ本部が最初に決めるべきエリア区割りの実務

フランチャイズ本部立ち上げで意外と見落とされるのが「エリアの区割り」です。加盟契約はエリアとセットで結ばれるため、区割りの設計を誤ると、後から修正するのは極めて困難になります。弊社が全国47都道府県・260超のエリア区割りの実務に携わった経験から、押さえるべきポイントを解説します。

なぜ最初に決める必要があるのか

1号加盟店と「◯◯市全域」で契約してしまった後に、その市が実は3店舗分の商圏だったと気づいても手遅れです。逆に狭すぎるエリア設定は加盟の魅力を下げます。エリアは「加盟店に売る商品の単位」であり、商品の規格は最初に決めるべきものです。

区割りの基準は「人口」だけでは不十分

人口を基準にするのは出発点として正しいですが、実務ではさらに次の要素を重ねます。①商圏の実態(駅勢圏・幹線道路・生活動線)②業態ごとの必要商圏人口③競合の密度④将来の多店舗展開余地。たとえば駅前型業態と郊外ロードサイド型業態では、同じ人口でも適切なエリアの切り方がまったく異なります。

「空白エリア」の管理が加盟開発を加速させる

全国のエリアを一覧化し、契約済み・商談中・空白を常に管理できる状態にしておくこと。「あなたの地域はまだ空いています。ただし1エリア1加盟です」と言える本部は、検討者の決断を自然に後押しできます。エリア管理表は加盟開発の営業ツールそのものです。

エリア区割りを、後から変更する難しさ

エリア戦略で最も注意すべきは、一度加盟店と交わした territory(テリトリー)の約束は、後から一方的に狭められないことです。最初に「この地域は独占」と約束してしまうと、その地域に別の加盟希望者が現れても出店させられません。加盟開発を焦って広いエリアを安易に約束すると、将来の展開を自分で縛ることになります。

弊社が本部支援で必ず確認するのは、「今の1件を取るためのエリア約束が、3年後の展開の足かせにならないか」です。目先の加盟契約と、中長期の面展開。この二つは時に矛盾します。区割りは、加盟開発の勢いだけで決めず、数年先の地図を描いてから引くべきです。

テリトリー制とドミナントのトレードオフ

エリア戦略を考えるとき、本部が向き合うのが「テリトリー制」と「ドミナント戦略」のバランスです。

テリトリー制は、加盟店に一定の営業エリアを保証し、その地域に同じブランドの店を出さない仕組みです。加盟店は商圏を守られ、安心して投資できます。一方ドミナント戦略は、特定エリアに集中出店してシェアと認知を高める手法ですが、近隣に同じブランドが増えるため、加盟店同士の客の奪い合い(カニバリゼーション)が起きうます。

この二つはしばしば衝突します。本部は店舗を増やしてシェアを取りたい、加盟店は自分の商圏を守りたい。この利害のバランスをどう取るかが、エリア戦略の核心です。

加盟する側にとって、商圏保護は死活問題

彊社はリラクゼションサロン「ASIESTA」の加盟店として、商圏を守ってもらえるかどうかがいかに重要かを実感しています。自分が投資して育てた商圏に、ある日突然同じブランドの店ができたら、「本部は自分たちの都合で出店したのでは」と不信が生まれます。

だから本部は、出店可能範囲や、近隣出店時の説明ルールを、募集の段階で明確にしておくべきです。ここを曖昧にしたまま加盟を進めると、開業後に大きなトラブルになります。なお、テリトリーの取り決めは独占禁止法など法的な論点も絡むため、契約内容の設計にあたっては弁護士など専門家に確認することをおすすめします。

まとめ

エリア区割りは後から直せない初期設計事項です。人口だけでなく商圏実態・業態特性・展開余地を重ねて設計し、全国のエリア在庫を一覧管理する。ここまでやって初めて、エリアは「売れる商品」になります。

エリア戦略の設計・エリア管理体制の構築についての無料相談は、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

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この記事を書いた人

井上 和弥

井上 和弥

アイピーデザイン株式会社 代表取締役

フランチャイズ本部の立ち上げ支援・加盟開発を手がけ、自らもフランチャイズ加盟店を運営。格安レンタカーのフランチャイズ本部で営業部長として加盟開発を牽引(150→350店舗)、飲食・焼肉のフランチャイズで加盟開発責任者(50店舗)、現在はアーリーステージの格安レンタカーを3年で65店舗まで拡大。リラクゼーション・印刷・無人フィットネスジムなど複数業種の本部支援実績を持つ。本部と加盟、その両方を知る立場から発信しています。

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