フランチャイズ契約の締結前に、本部は加盟希望者へ一定の情報を開示することが求められます。小売業・飲食業には中小小売商業振興法に基づく法定開示書面の制度があり、業種を問わず、開示の誠実さは本部の信頼性そのものとして見られます。立ち上げ期の本部が押さえるべき考え方を整理します。
「開示しない本部」は選ばれない時代
加盟検討者は、複数の本部を比較し、ネット上の評判も調べたうえで説明会に来ています。既存店の売上実績、撤退店舗数、契約条件の詳細——これらを聞かれてから渋々出す本部と、最初から資料に含めている本部では、信頼の初期値がまったく違います。
開示すべき項目の考え方
一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会が示す開示項目の枠組みは、業種を問わず参考になります。本部の財務状況、加盟店の店舗数推移(出店数と解約数の両方)、契約条件の全体像、訴訟の有無など。特に「解約・撤退の数」を開示できるかどうかは、本部の姿勢を測る試金石として検討者に見られています。
売上予測の提示は最も慎重に
加盟開発で最もトラブルになりやすいのが、売上予測・収益予測の提示です。根拠のない楽観的な数字を示して加盟させた場合、後に紛争へ発展するリスクがあります。予測を示す場合は、算出根拠・前提条件・実績との乖離可能性を必ず併記してください。この領域は法的リスクが大きいため、開示書面の整備はフランチャイズ実務に詳しい弁護士の確認を受けることを強く推奨します。
開示と、加盟後のトラブルは直結する
情報開示をどこまでやるかは、加盟後のトラブルの多さと直結します。弊社は加盟する側も経験していますが、契約前に聞いていた話と開業後の実態が食い違ったとき、加盟店の不信は一気に深まります。都合の悪い情報を開示段階で伏せておくと、その場は契約に至っても、後々もっと大きな形で跳ね返ってきます。
開示は、加盟希望者のためだけでなく、本部自身を守るためのものでもあります。事前に伝えた上で加盟してもらえば、「聞いていない」という最も多いトラブルの芽を摘めます。開示は攻めの営業ではなく、守りの経営判断です。
「法定開示書面」という法的な枠組み
情報開示を考えるうえで、まず押さえておきたいのが法的な枠組みです。フランチャイズのうち小売業・飲食業(特定連鎖化事業)の本部には、中小小売商業振興法により、加盟希望者への「法定開示書面(情報開示書面)」の交付・説明が義務づけられています。本部の概要や契約内容など、法律で定められた項目を書面で示すものです。
さらに、独占禁止法の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方(フランチャイズ・ガイドライン)」では、小売・飲食に限らず全業種で、契約前の的確な情報開示が望ましいとされています。そのため実務上は、サービス業の本部も法定開示書面に準じた開示を行うのが一般的です。開示をしない本部は「公正さを欠く」と見られかねません。
なお、2022年施行の改正では、開示項目に「立地条件が類似する店舗の直近3事業年度の収支」が加わりました。本部が作るモデル収支だけでなく、実在店舗の実績を示すことが求められる方向にあります。こうした法令の詳細や自社が対象かの判断は、弁護士やフランチャイズに詳しい専門家、中小企業庁の資料で必ず確認してください。
義務でなくても開示する本部が、選ばれる
弊社はリラクゼーションサロン「ASIESTA」の加盟店として、加盟前に本部の情報を確認する側を経験しています。その実感として、加盟希望者が本当に見ているのは、書面が法的に整っているかだけではありません。「都合の悪いことまで、正直に開示してくれるか」です。
法律上の義務があるかどうかにかかわらず、うまくいっていない店舗の状況や、事業のリスクまで開示する本部は、かえって「信頼できる」と映ります。開示は本部を守るための最低限の防御であると同時に、誠実さを示す最大の武器でもあります。弊社が加盟希望者にときにお断りをするのも、この「正直であること」を大切にしているからです。
まとめ
情報開示は「義務だから仕方なくやるもの」ではなく、加盟開発の武器です。誠実な開示体制を先に作った本部が、結果として検討者に選ばれます。
開示書面・加盟開発体制の整備についての無料相談は、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
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