リラクゼーションサロンを開きたい。そう考えたとき、最初に立ちはだかるのがお金の問題です。いくら必要で、どこから調達するのか。この記事では、開業資金の目安と資金調達の選択肢を、実際にサロンを運営している立場から整理します。
※本記事は2026年9月時点の情報です。制度の要件や金利は変更されることがあります。
開業資金は「開き方」で大きく変わる
同じリラクゼーションサロンでも、どういう形で開くかによって必要な資金はまったく違います。弊社は完全個室型のリラクゼーションサロン「ASIESTA」を平塚駅前と新静岡駅前で運営しています。その経験からお伝えすると、目安は次のとおりです。
| 開業の形 | 初期費用の目安 |
|---|---|
| テナントを借りて開業する | 500万円〜 |
| 自宅やマンションの一室など小規模に始める | 300万円以内 |
この差は、内装と設備の工事があるかどうかで生まれます。テナントを借りて完全個室型のサロンを作る場合、間仕切りの工事や空調、水回りの整備が必要になります。自宅やマンションの一室であれば、そうした工事がほとんど要りません。ここが数百万円の違いになります。
ただし、金額は物件次第で大きく動きます。同じ坪数でも居抜きかスケルトンかで工事費はまったく変わりますし、立地によって保証金の水準も違います。上の数字は目安として置き、実際の物件を見て積み上げてください。
費用を左右する3つのポイント
1つ目は、物件が居抜きかスケルトンかです。
前のお店の内装や設備を引き継げる居抜き物件なら、工事費を大きく抑えられることがあります。スケルトンは自由に設計できる反面、ゼロから工事をする分だけ費用がかさみます。
2つ目は、規模と立地です。
坪数が広いほど工事費も家賃も上がります。駅前など人通りの多い立地は集客しやすい一方で、家賃という固定費が毎月重くのしかかります。
3つ目は、コンセプトと内装です。
高級感やこだわりを打ち出すほど内装費は上がります。完全個室型にするなら、間仕切りの工事が別途必要になることも考えておいてください。
費用の主な内訳
テナント開業を例にすると、費用はおおよそ次の項目に分かれます。
物件取得費。 保証金・礼金・前家賃などで、家賃の4〜6か月分が目安になります。
内装工事費。 規模や施工内容で大きく変動します。完全個室型は間仕切りが必要なぶん、オープンフロアより高くなります。
設備・備品費。 施術ベッド、リネン類、アロマやオイルなどの消耗品、空調、音響設備などです。
広告宣伝費。 ホームページ、予約サイトへの掲載、開業時のチラシなど。開業してから考える方が多いのですが、開業前に予算を取っておくべき項目です。
運転資金。 開業直後は集客が安定するまで数か月かかることが珍しくありません。家賃・人件費・広告費といった固定費の3〜6か月分を、あらかじめ確保しておいてください。
自己資金はどのくらい必要か
日本政策金融公庫の2025年度新規開業実態調査によると、開業時の資金調達額に占める自己資金の割合は平均22.9%、金額では平均279万円でした。同じ調査で、開業費用の平均値は975万円となっています。
制度上の自己資金要件は撤廃されましたが、審査では自己資金の額が判断材料の一つになります。自己資金が多いほど融資審査で有利になり、返済の負担も軽くなります。
一方で、全額を貯金でまかなおうとすると開業がいつまでも先送りになります。必要額の2割から3割を目安に、足りない分を融資で補う。この組み立てが現実的です。
資金調達の選択肢
1つ目は、日本政策金融公庫の創業融資です。
現在の制度名は「新規開業・スタートアップ支援資金」で、旧「新創業融資制度」は2024年3月に廃止され、機能が統合されました。融資限度額は7,200万円、うち運転資金は4,800万円です。返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内。対象は、新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方です。
2つ目は、マル経融資です。
商工会議所の推薦を受けて、無担保・無保証人で借りられる制度です。融資限度額は2,000万円、金利は年2.70%(2026年8月1日時点)で、経済情勢により変動します。ただし商工会議所の経営指導を一定期間受けていることなどの要件があり、開業前ではなく開業後の運転資金に向いた制度です。返済期間は商工会議所によって案内が異なるため、窓口でご確認ください。
3つ目は、小規模事業者持続化補助金です。
販路開拓の取り組みに使える制度で、一般型・通常枠は補助率3分の2、補助上限50万円が基本です。赤字事業者は補助率が4分の3になります。インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円が上乗せされ、両方を満たすと上限は250万円まで広がります。第20回の申請受付は2026年11月5日から12月15日17時まで、商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)の締切は12月4日です。
申請の可否や要件の判断については、商工会議所や中小企業診断士、社会保険労務士にご確認ください。制度は年度や公募回ごとに変わります。
資金計画で見落としやすいリスク
1つ目は、売上の立ち上がりが想定より遅れることです。
初月から黒字になる前提の計画は危険です。数か月分の運転資金と、自分の生活費を別に確保しておいてください。
2つ目は、借入の返済が固定費になることです。
開業がゴールではなく、返しながら経営する前提で金額を決める必要があります。
3つ目は、補助金は後払いで、しかも採択されるとは限らないことです。
採択を前提に資金計画を組むと、不採択だったときに立ち行かなくなります。書類の不備や要件の見落としで不支給になることもあります。
未経験なら、本部の仕組みを借りる選択肢も
リラクゼーション業は国家資格が不要で、参入しやすい業種です。その一方で、集客やメニュー設計、スタッフの育成といったノウハウがないまま始めると、開業してから苦戦しやすい分野でもあります。
弊社が運営する完全個室型リラクゼーションサロン「ASIESTA(アジエスタ)」では、内装基準や研修体制、集客のノウハウをフランチャイズとして提供しています。加盟金やロイヤリティという費用は発生しますが、そのぶん立ち上げでつまずく確率を下げられます。
どちらが正解ということはありません。自分で全部決めたい方には独立開業が向いていますし、早く形にしたい方には本部の仕組みを使う方法が向いています。
サロン開業シリーズ(全5回)
